最低賃金の改正(平成29年・2017年)
夏は最低賃金の額が改正され10月から最低賃金が上がりますので、最低賃金制度について2017年9月1日時点での最新情報をお届けします。
最低賃金制度の目的と効果
最低賃金制度は賃金の最低額を保障していますので働く人たちのメリットであることはもちろん、一社だけぬけがけして労働者を低賃金で働かせることを防ぎ、事業の公正な競争を確保するという会社のメリットもあります。
ゆえに、仮に最低賃金額より低い賃金額を労働者と使用者の合意の上で定めても、それは最低賃金法によって無効とされ、最低賃金額との差額を支払う必要があります。そして最低賃金を下回る賃金しか支払っていなかった場合、50万円の罰金が課せられます。
最低賃金の種類
最低賃金には、①地域別最低賃金と②特定最低賃金の2種類があります。
地域別最低賃金は都道府県ごとに最低賃金額が定められています。
特定最低賃金は特定地域内の特定産業について定められています。
地域別最低賃金と特定最低賃金のどちらか高い方が適用されます。
首都圏のなかで東京都と神奈川県は地域別最低賃金を使用します。この2都県は特定最低賃金の適用はありません。
以降、地域別最低賃金について述べていますが、特定最低賃金の全国一覧についてはこちらをご覧ください。
最低賃金の対象者
年齢や正社員、契約社員、パート、学生アルバイト、嘱託などの雇用形態や呼称にかかわらず、すべての労働者(雇用契約)に適用されます。したがって、委任契約をしている役員や、請負契約または業務委託契約をしている個人事業主等とのには適用されません。ただし、請負偽装など実態は雇用契約なのに形式的に請負契約をしている場合は雇用契約とみなされ最低賃金が適用されますのでご注意ください。働く場所や時間を決めたり、業務の進め方を指示したりすると雇用契約と判断されることがあり、契約の形式ではなく働き方の実態で判断されます。
なお派遣労働者は派遣先の会社所在地の最低賃金が適用されます。
最低賃金の額
事業場のある都道府県の最低賃金が適用されます。
東京都 958円(昨年の932円から26円の引き上げ)
神奈川県 956円(昨年の930円から26円の引き上げ)
埼玉県 871円(昨年の845円から26円の引き上げ)
千葉県 868円(昨年の842円から26円の引き上げ)
その他の道府県についてはこちらをご覧ください。
最低賃金の適用時期
首都圏は10月1日からです。賃金計算期間の途中でも10月1日以降に働いた分は最低賃金以上の賃金を支払うようにしてください。
最低賃金の計算方法
月給の場合:月給÷1か月の平均所定労働時間
日給の場合:日給÷1日の平均所定労働時間
月給の場合の具体的な計算例はこのページの下の方をご覧ください。
最低賃金の対象としない賃金
臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
精皆勤手当、通勤手当および家族手当
最低賃金の対象とする賃金
仕事上の能力に関係する手当(基本給、職能手当、役職手当、技能手当等)
年俸制で額が確定している賞与
最低賃金の計算例
月給制で年間所定労働日数250日(カレンダーを見ながら貴社の所定労働日をカウントしてください)、1日の所定労働時間8時間の場合
基本給 120,000円 職務手当 30,000円 通勤手当 5,000円 時間外手当 35,000円 合計 190,000円
通勤手当、時間外手当は除外され、職務手当は除外されませんので、最低賃金の対象となる月給は以下のようになります。 190,000円-(5,000円+35,000円)=150,000円 この金額を時間額に換算すると以下のようになり、この金額と最低賃金を比較します。 (150,000円×12か月)÷(250日×8時間)=900円
出典(厚生労働省サイト)