有期労働契約の更新と雇止め
平成30年4月から無期転換ルール※(有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより無期労働契約に転換するルール)が適用されますので、有期労働契約の更新と雇止めについて説明していきます。
さて、有期労働契約、例えば6ヶ月や1年という期間を定める雇用契約をしている場合、契約期間が満了したら当然に雇止めできるでしょうか。
答えは"No"です。期間の定めがある雇用契約は、その契約期間が満了すれば当然に終了し、契約の更新をするかどうかは当事者の自由に委ねられているのが原則です。しかし、労働契約法(19条)で一定の制限が設けられ、反復して更新されている有期労働契約が無期労働契約と同一視できる場合や有期労働契約が更新されるものと期待することに合理的な理由がある場合には雇止めが認められていません。
そして雇止めについて争われた裁判例を見てみると、原則どおり契約期間の満了により当然に契約関係が終了するものと判断した事案ばかりではなく、雇止めの可否を判断し、 結果として雇止めが認められなかった事案も少なくありません。雇止めが認められない場合は解雇と同視されますので、その解雇が不当かどうか判断され、その労働者は復職、または解決金を得て退職することになります。
では裁判所が雇止めを認めず解雇と判断する要素について見ていきましょう。一つの決定的な要素はありませんが、以下を総合考慮して、個々の事案ごとに判断されます。
地位や業務内容が臨時的であるほど雇止めが認められやすい
更新回数が少ないほど、勤続年数が短いほど雇止めが認められやすい
契約更新時に成績評価をしたり更新手続きを厳格にしているほど雇止めが認められやすい
雇用継続の期待をもたせる当事者の言動が少ないほど雇止めが認められやすい
同様の地位にある他の従業員の雇止めがされているほど雇止めが認められやすい
例えば以下のような事例(東芝柳町工場事件 最高裁昭和49年7月22日第一小法廷判決)では雇止めが認められませんでした。
採用基準や就業規則に差があったが仕事の内容は正社員と同じだった
契約期間2か月×更新回数5回以上
契約更新に当たっては、必ずしも契約期間満了の都度直ちに新契約締結の手続がとられていたわけではなく事後的に手続きされていた
会社側に長期継続雇用、正社員への登用を期待させるような言動があった
契約期間2か月の期間満了によって雇止めされた事例はなく、自ら希望して退職するもののほか、そのほとんどが長期間にわたって継続雇用されていた
このように、有期労働契約の契約期間が満了したからと言って当然に雇止めが認められないケースもありますのでご留意ください。
なお労働契約の期間の有無等は労働条件通知書に記載すべき内容となりますので労働条件通知書が重要となってきます。
※無期転換ルールについては別の記事で触れたいと思います。
出典
更新日:2017/11/01